筋トレで腰痛は予防できる?腰を痛めないための注意点と始め方
筋トレで腰痛は予防できるのか。日本整形外科学会と日本腰痛学会が監修した『腰痛診療ガイドライン2019』では、腰痛予防に運動療法は有用とされ、「行うことを強く推奨する」と位置づけられています。ただし、ここでいう運動療法は専門医が診察し、合うかどうかを検討したうえで組み立てるもので、どんな運動でもよいという意味ではありません。痛みやしびれがある時期は、まず医療機関へ。痛みのない人が予防のために筋トレを始めるなら、腰に頼らない体の使い方と、軽い負荷から少しずつが基本です。
この記事では、腰痛と運動について分かっていることを整理したうえで、筋トレで腰を痛めないために気をつけたいことと、始め方の順番をまとめます。
腰痛と運動について、分かっていること
腰痛は、多くの人が抱えている悩み
厚生労働省の『2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況』では、自覚症状を症状別にみると、男女とも「腰痛」での有訴者率が最も高くなっています。腰の不調は、特別な人だけのものではありません。
また、厚生労働省の『健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023』は、身体活動不足と長い座位時間は、腰痛や肩こり、頭痛につながりやすいとしています。デスクワークで座っている時間が長い人ほど、体を動かす時間を意識してつくることが大切です。
ガイドラインが「強く推奨」しているのは、運動療法
『腰痛診療ガイドライン2019』では、腰痛予防に有用な方法として、運動療法が推奨度1(行うことを強く推奨する)とされています。また、発症から3ヵ月以上続く慢性腰痛についても、運動療法は有用で、強く推奨されています。
一方で、同じガイドラインには次のような注意も書かれています(要約)。
- ここでいう運動療法は、専門医が診察して、運動療法が合うかを慎重に検討したうえで組み立てたもので、あらゆる運動を指すわけではない
- 発症から3ヵ月未満の急性腰痛・亜急性腰痛では、運動療法の効果ははっきりしていない(エビデンスが不明)
- 慢性腰痛の運動療法についても、どの種類の運動が効果的かを明確に示す論文は今のところない
つまり「筋トレをすれば腰痛にならない」「この種目をやれば腰痛が治る」とは言えません。運動を続けることが腰痛の予防に役立つことを示唆する研究はあるものの、どんな運動が合うかは体の状態によって違う、というのが現時点で言えることです。
コルセットに頼りすぎない
同じガイドラインでは、コルセットには腰痛に対する直接的な予防効果はないとされています。予防のつもりで毎日つけ続けるより、体を動かす習慣づくりを優先したいところです。なお、医師からコルセットの使用を指示されている方は、その指示に従ってください。
筋トレを始める前に、医療機関を先にしたいサイン
腰が痛い原因の中には、背骨の重い病気が隠れていることもあります。『腰痛診療ガイドライン2019』は、重い脊椎疾患(腫瘍、感染、骨折など)を疑うべき危険信号として、次のようなものを挙げています(一部)。
- 腰痛が始まった年齢が20歳未満、または55歳を超えている
- 時間や活動性に関係のない腰痛(じっとしていても痛む)
- 発熱
- 体重減少
- 胸部痛
- 広範囲に及ぶ神経症状(脚のしびれや力の入りにくさなど)
- 癌、ステロイド治療、HIV感染の既往
日本整形外科学会も、安静にしていても痛みが軽くならない、しだいに悪化する、発熱している、下肢がしびれたり力が入らない、尿漏れがするなどの症状を伴っている場合は、すみやかに整形外科を受診するよう呼びかけています。
ただし、胸や背中の突然の激痛、痛む場所が移動する、突然のしびれ、突然片方の腕や足に力が入らなくなる、といった症状は、総務省消防庁が「ためらわず救急車を呼んでほしい症状」として挙げているものです。こうしたときは受診を待たずに119番へ。判断に迷うときは救急相談窓口(#7119等)に相談できます。
こうした症状があるとき、足腰の痛みが強いときは、筋トレを始める前に整形外科などの医療機関を受診してください。すでに通院している方は、運動をしてよいか、避けたほうがよい動きはあるかを主治医に確認しておくと安心です。
『健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023』でも、毎回の運動前の体調確認の項目に「足腰の痛みが強い」が入っています。また、運動中に関節や筋肉の強い痛みなど、体調の異変を感じたら直ちに運動を中止するよう呼びかけています。
腰を痛めないために、筋トレで気をつけたいこと
痛みのない人が予防のために筋トレをする場合も、やり方しだいで腰に負担をかけてしまいます。どの種目でも共通して意識したいことを5つ挙げます。
1. 準備運動をしてから始める
『健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023』は、ある程度の強度の運動を行う際には、ウォームアップ(準備運動)を必ず行うよう呼びかけ、その目的の一つに運動中の傷害の予防を挙げています。いきなり重いものを持ち上げず、軽い動きで体を温めてから始めましょう。
2. 息を止めずに動く
力を入れる瞬間に息を止めると、体に余計な力みが出やすくなります。持ち上げるときに吐く、戻すときに吸う、というように、呼吸を続けたまま動くことを意識します。
3. 腰ではなく、股関節から体を折る
床の物を拾う、スクワットでしゃがむといった動きで、背中を丸めて腰だけで曲げると、腰に負担が集まりやすくなります。お尻を後ろに引くようにして、股関節から体を折ることを意識します。
4. 反動を使わず、ゆっくり動かす
勢いをつけて体を振り上げたり、反動で回数をこなしたりすると、狙った筋肉ではなく腰が動いてしまいがちです。回数が少なくなってもよいので、動きを自分でコントロールできる速さで行います。
5. 重さより、フォームを先に
重さを増やすのは、正しいフォームで余裕をもって動けるようになってからです。鏡や動画で自分の姿勢を確認するのも一つの方法ですが、自分では反り腰や背中の丸まりに気づきにくいものです。腰が反りやすい方は、反り腰の原因と、ピラティスで意識したい体の使い方も参考にしてください。
腰が心配な人の、筋トレの始め方
運動の習慣がない人や、以前に腰を痛めたことがある人は、次の順番で進めると無理がありません。
- 体の状態を確認する:痛みやしびれがないか、医師から言われていることがないかを確かめます。気になる症状があれば受診が先です。妊娠中・産後の方は、運動してよいか、避けたほうがよい動きはあるかを、かかりつけの医師に確認してから始めてください。
- 自分の体重でできる動きから始める:器具や重りを使わず、仰向けでお尻を持ち上げる動き、四つ這いで手足を伸ばす動きなど、痛みが出ない範囲でできるものから選びます。
- 頻度を決める:『健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023』は、成人に筋力トレーニングを週2~3日行うことを推奨しています。最初は回数を少なめにして、続けられる頻度を優先します。
- 慣れたら少しずつ負荷を上げる:フォームが崩れない範囲で、回数や重さを少しずつ増やします。痛みが出た種目は無理に続けず、やり方を見直します。強い痛みや、休んでも続く痛みがあるときは運動を中止し、医療機関に相談してください。
- 座りっぱなしを減らす:筋トレの日以外も、長く座り続けないように、こまめに立って体を動かします。
腹筋運動だけを繰り返せば腰痛を防げる、というものではありません。ガイドラインでも、慢性腰痛の運動療法について、効果的な運動の種類を明確に示す論文は今のところないとされています。体の状態に合ったものを、続けられる形で取り入れることが大切です。
小岩で、フォームを見てもらいながら始めたい方へ
自己流の筋トレで腰が不安な方は、トレーナーに動きを見てもらうのも一つの方法です。テルスカンジム小岩店は、マンツーマンのパーソナルトレーニングとパーソナルピラティスを行っているジムです。完全個室で、その日のメニューはトレーナーが決めます(パーソナルトレーニングについて)。姿勢や体の使い方を整えたい方には、パーソナルピラティスもあります。
当店は医療機関ではないため、腰痛の診断や治療はできません。痛みやしびれがある方は、まず医療機関で診てもらい、医師から言われていることがあればご予約の際にお知らせください。運動が初めての方ははじめての方へ、料金は料金ページをご覧ください。


