猫背と巻き肩の改善はどこから?デスクワークで整える順番と工夫
デスクワークでの猫背と巻き肩は、どこから整えればよいのか。おすすめの順番は、①同じ姿勢が長く続く「座る環境と時間」を見直す → ②固まりやすい胸まわりと肩甲骨を動かす → ③背中とお腹で姿勢を支える力をつける、の3段階です。背筋を伸ばそうと意識するだけでは、長い時間は続きません。まずは姿勢が崩れやすい条件を減らし、そのうえで体を動かす、という順に進めるのが取り組みやすい方法です。腕のしびれや強い痛みがある場合は、運動より先に整形外科で相談してください。突然の激しい頭痛や突然のしびれなどは、受診を待たずに119番です。
この記事では、デスクワークで猫背・巻き肩になりやすい理由を整理したうえで、3つの段階それぞれで具体的にできることをまとめます。
猫背と巻き肩が、デスクワークで起きやすい理由
猫背と巻き肩は、セットで起きやすい
猫背は、背中が丸まり、頭が体より前に出た姿勢のことです。巻き肩は、肩が体の前側・内側に入り込んだ状態を指します。パソコンの画面をのぞき込んだり、手元のキーボードやマウスに腕を伸ばしたりする姿勢が続くと、背中が丸まるのと同時に肩も前に入りやすくなります。そのため、2つは別々というより、同じ姿勢のクセから一緒に起きていることが多いものです。
「同じ姿勢が続くこと」そのものが負担になる
日本整形外科学会は、肩こりの原因として、首や背中が緊張するような姿勢での作業、猫背・前かがみといった姿勢、運動不足、連続して長時間同じ姿勢をとることなどを挙げています。また、厚生労働省の『健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023』は、身体活動不足と長い座位時間は腰痛や肩こり、頭痛につながりやすいとしています。
つまり、問題は「一瞬の姿勢の良し悪し」よりも、崩れた姿勢のまま動かない時間の長さにあります。どれだけ良い姿勢でも、何時間も同じ形で固まっていれば体には負担がかかります。整える順番を「環境と時間」から始めるのは、このためです。
整える順番は「環境 → 動かす → 支える」
猫背と巻き肩に取り組むときは、次の順番で考えると、何から手をつければよいかが分かりやすくなります。
- 座る環境と時間を見直す:椅子・画面の高さや距離を整え、同じ姿勢が続く時間を区切る
- 固まりやすいところを動かす:前に丸まりがちな胸まわり・肩甲骨・背骨を、こまめに動かす
- 支える力をつける:背中やお腹の筋肉を使えるようにして、姿勢を保ちやすくする
いきなり③の筋力トレーニングから始めても、1日の大半を丸まった姿勢で過ごしていれば、また元の姿勢に戻りやすくなります。反対に、①だけを整えても、体を動かす時間がなければ固まりやすさは残ります。3つはどれか1つではなく、順番に積み上げていくものと考えてください。
始める前に:こんなときは先に医療機関へ
次のような症状がある場合は、セルフケアや運動を始める前に、整形外科で相談してください。
- 肩から腕にかけての痛み、腕や手指のしびれがある(日本整形外科学会は、頚椎症性神経根症では首を後ろへそらせると痛みが強くなるとしています)
- ボタンのはめ外しや箸の使用、字を書くことがしにくくなった、歩くときに脚がもつれる感じがある(急に起きた場合は、下の119番の案内を見てください)
- いつもの肩こりとは違う強い痛みがある(突然の激しい痛みや、胸の痛みを伴う場合は、下の119番の案内を見てください)
日本整形外科学会は、頚椎の病気や頭の中の病気、高血圧、目の病気などに伴う症状として肩こりが出ることも少なくないとしています。「ただの姿勢のクセ」と決めつけず、気になる症状があるときはまず診てもらうことが大切です。
また、突然の激しい頭痛、胸や背中の突然の激痛、胸の中央が締め付けられるような、または圧迫されるような痛みが2~3分続く、突然のしびれ、突然、片方の腕や足に力が入らなくなるといった症状は、総務省消防庁が「ためらわず救急車を呼んでほしい症状」に挙げています。こうしたときは整形外科の予約を待たずに119番へ。救急車を呼ぶか迷うときは、お住まいの地域の救急相談窓口(#7119など)に相談する方法もあります。#7119は全国すべての地域で実施されているわけではなく、地域によっては別の番号の場合もあります。
ステップ1:座る環境と、座り続ける時間を見直す
椅子と画面の位置を整える
厚生労働省が事業者向けに示している『情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン』では、パソコン作業の姿勢について、次のような目安が書かれています(要約)。
- 椅子に深く腰をかけて背もたれに背を十分にあて、履き物の足裏全体が床に接した姿勢を基本とする。足が届かない場合は、すべりにくい足台を必要に応じて使う
- ディスプレイは、おおむね40cm以上の視距離が確保できるようにする
- ディスプレイは、画面の上端が眼の高さとほぼ同じか、やや下になる高さにすることが望ましい
- 座ったままだけでなく、時折立った姿勢を交えて作業することが望ましい
画面が低すぎると頭が前に落ちやすく、画面が遠すぎたり文字が小さすぎたりすると、のぞき込むように背中が丸まりやすくなります。ノートパソコンは画面とキーボードが一体なので、画面の高さだけを上げにくい点に注意が必要です。台やスタンドで画面を上げ、外付けのキーボードやマウスを使うなど、手元の位置とあわせて調整してみてください。
同じ姿勢を、時間で区切る
同じガイドラインでは、事業者が指導する内容として、一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10分~15分の作業休止時間を設け、かつ、一連続作業時間内において1回~2回程度の小休止を設けることが示されています。
職場の事情ですぐに同じようにはできなくても、「1時間座りっぱなしにしない」「途中で一度は立つ」という考え方は、自宅でのパソコン作業やスマートフォンを見る時間にも取り入れられます。『身体活動・運動ガイド2023』も、座りすぎを避け、今よりも少しでも多く体を動かすことを基本としています。飲み物を取りに行く、プリンターまで歩く、電話は立って受けるなど、仕事の流れの中で立つきっかけを決めておくと続けやすくなります。
ステップ2:固まりやすい胸まわりと肩甲骨を動かす
前に丸まった姿勢が続くと、胸の前側は縮んだまま、肩甲骨や背骨は動かないままになりがちです。ガイドラインにも、就業の前後や就業中に、体操、ストレッチ、リラクゼーション、軽い運動などを行うことが望ましいと書かれています。休憩のたびに、次のような軽い動きを取り入れてみてください。
- 肩をゆっくり回す:肩先で大きな円を描くように、前から後ろへゆっくり回します。肩甲骨が背中の上で動いているのを感じながら行います。
- 肩甲骨を寄せて、下げる:両肘を軽く曲げ、左右の肩甲骨を背骨に近づけるように寄せてから、肩を耳から遠ざけるように下げます。数秒保って、ゆっくり戻します。
- 背中を丸める・伸ばすを交互に:椅子に座ったまま、息を吐きながら背中を丸め、吸いながら胸を前に出すように背骨を伸ばします。同じ形で固まっていた背骨を、前後に動かすイメージです。
どれも、痛みが出ない範囲で、反動をつけずにゆっくり行うのがポイントです。また、胸を開こうとして首を大きく後ろへそらす動きは控えめにしてください。動かしている途中で腕のしびれや痛みが出たり強くなったりした場合は、すぐに中止し、整形外科で相談しましょう。突然のしびれや、片方の腕や足に急に力が入らなくなった場合は、119番へ連絡してください。
ステップ3:背中とお腹で、姿勢を支える力をつける
環境を整え、こまめに動かせるようになったら、次は姿勢を支える力です。背中が丸まりやすい人は、肩甲骨を背骨側に引き寄せる背中の筋肉や、背骨を支えるお腹まわりの筋肉を、うまく使えていないことがあります。
『身体活動・運動ガイド2023』は、成人に筋力トレーニングを週2~3日行うことを推奨しています。ここでいう筋力トレーニングには、マシンやダンベルを使うものだけでなく、自分の体重を使う腕立て伏せやスクワットなども含まれます。運動の習慣がない人は、回数を少なめにして、続けられる頻度から始めましょう。
胸を張りすぎない
猫背を直そうとして、胸を大きく張り、腰を強く反らせてしまう人もいます。これでは丸まりの代わりに腰を反らせた姿勢で固まりやすくなり、別の負担につながります。腰の反りについては、反り腰の原因は?ピラティスで意識したい体の使い方と日常の工夫でまとめています。目指すのは「胸を張った姿勢」ではなく、頭・肩・骨盤が無理なく積み重なった、力みの少ない姿勢です。
呼吸と背骨の動きを意識する方法も
体の使い方を一つずつ確認しながら進めたい人には、呼吸と背骨の動きを意識しながら体を動かすピラティスという選択肢もあります。ピラティスとヨガの違いや、始める前の注意点はピラティスとヨガの違いは?目的別の選び方と始める前の注意点で紹介しています。トレーニングを始めるときの腰への注意は、筋トレで腰痛は予防できる?腰を痛めないための注意点と始め方もあわせて参考にしてください。
自分では姿勢のクセが分かりにくいときは
猫背と巻き肩は、画面の位置、座っている時間、固まりやすい部位、筋力の使い方など、いくつかの要素が重なって起きています。どこから手をつけるべきかは人によって違い、自分の背中や肩の位置は、自分ではなかなか見えません。
小岩のテルスカンジムでは、小岩のパーソナルピラティスを完全個室・マンツーマンで行っています。体の状態を見ながら進めるので、動かし方が分からなければその場で止めて確認できます。パーソナルトレーニングと同じ料金の中で組み合わせることもでき、背中やお腹の筋力づくりと、姿勢を整える動きの両方に取り組めます。料金は1回あたり1,200円〜(税込・コースと通う回数によって変わります。10回数券は1回5,000円)で、入会金(入会キャンペーン中)・初回の体験トレーニングとカウンセリングは0円です。くわしくは料金プランをご覧ください。
なお、当店は医療機関ではないため、痛みやしびれの診断や治療はできません。症状がある方は、まず医療機関で相談してください。運動が久しぶりの方は、初めての方へのページも参考になります。
猫背と巻き肩は、一度で整えて終わりにするものではなく、毎日の座り方・動き方の積み重ねで変わっていくものです。まずは今日、画面の高さを確かめ、1時間に一度は立ち上がるところから始めてみてください。


