二の腕痩せは部分的にできる?脂肪の落ち方と引き締める運動の順番
二の腕の脂肪だけを狙って落とすのは、難しいと考えておいたほうがよいでしょう。腕を鍛えた研究でも、鍛えた腕だけ脂肪がはっきり減るという結果はそろっていません。そのかわり、①全身の体脂肪を少しずつ減らす、②二の腕の裏側の筋肉を鍛えて形を整える、の2つを組み合わせて、二の腕の見た目を整えていくのが現実的な方法です。この記事では、研究でわかっていることと、自宅でもできる運動、やりがちな遠回りを順番に整理します。
二の腕だけ細くできる?研究でわかっていること
「鍛えた場所の脂肪が先に落ちる」という考え方は、部分痩せと呼ばれます。これを確かめた研究がいくつかあります。ここでは、腕の脂肪の変化を調べた2つの研究を紹介します。
片方の腕だけを12週間鍛えた研究
アメリカの大学の研究チームによる研究(Kostekら、2007年)では、男女104人(男性45人・女性59人)が、利き腕ではない方の腕だけを12週間、指導を受けながら筋力トレーニングしました。そのうえで、鍛えた腕と鍛えていない腕の皮下脂肪を、MRIと、皮膚をつまんで厚みを測る器具(キャリパー)の2つの方法で比べています。
- MRIで測ると、鍛えた腕と鍛えていない腕で皮下脂肪の変化に差はありませんでした(男女とも)。脂肪は鍛えた腕だけでなく、全体的に減っていました
- つまんで測る方法では、男性だけ、鍛えた腕の皮下脂肪が減っていました。女性と全体では差がありませんでした
研究チームは、測り方と性別で結果が分かれたとしたうえで、二の腕全体を見られるMRIの結果は「筋トレによって部分痩せは起きない」という考え方を支持すると述べています。つまり、部分痩せが絶対に起きないとまでは言い切れないものの、二の腕を鍛えれば、そこだけ目に見えて細くなるとは期待しにくい、ということです。
片方の脚だけを鍛えたら、減ったのは腕と体幹だった研究
もう1つは、チリの大学の研究チームによる研究(Ramirez-Campilloら、2013年)です。11人(男性7人・女性4人)が、利き脚ではない方の脚だけを12週間・週3回、軽い重さで回数を多くこなすレッグプレスで鍛えました。
結果は、全身の脂肪量は5.1%減った(平均13.5kg→12.8kg)ものの、鍛えた脚の脂肪には有意な変化がなく、脂肪が減っていたのは腕(10.2%)と体幹(6.9%)でした。人数が少ない研究なので、これだけで決めつけることはできませんが、「脂肪は鍛えた場所から減るとは限らない」という点では先の研究と同じ方向です。
どこから先に変化を感じるかは、人によって違います。二の腕の変化を感じるまでに時間がかかる人もいます。「二の腕が変わらないから失敗」と決めずに、全身で見ていくことが大切です。
二の腕がたるんで見えるのは「脂肪」と「筋肉」の両方
二の腕の見た目は、主に次の2つで決まります。
- 皮下脂肪の量:皮膚のすぐ下にある脂肪です。上の研究のとおり、ここを腕だけ狙って減らすのは難しく、全身の体脂肪が減るのに合わせて少しずつ変わっていきます
- 二の腕の裏側の筋肉(上腕三頭筋):肘を伸ばすときに働く筋肉です。ここが引き締まると、腕の裏側の形が変わって見えます
脂肪を減らすのは「全身」の仕事、形を整えるのは「二の腕の筋肉」の仕事、と分けて考えると、何をすればよいかがはっきりします。どちらか一方だけでは、思ったような変化が見えにくくなります。
順番はまず全身:体脂肪を減らす土台をつくる
二の腕の脂肪を減らしたいときにまず取り組みたいのは、腕の運動ではなく、全身の体脂肪を減らす生活です。目安になるのが、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」です。成人向けには、次のことが推奨されています。
- 歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日60分以上(1日約8,000歩以上に相当)
- 息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上
- 筋力トレーニングを週2〜3日
- 座りっぱなしの時間が長くなりすぎないように注意する
65歳以上の方には、別に高齢者版の目安があります(歩行などを1日40分以上〈1日約6,000歩以上に相当〉、筋力・バランス・柔軟性などを組み合わせた運動を週3日以上など。体の機能が落ちている方は、転倒などに注意することとされています)。
これは減量の目標ではなく健康づくりの目安ですが、体を動かす量を見直すときの基準になります。ガイドには、今より少しでも体を動かすことが大切だという考え方も書かれていますので、いきなり全部を満たそうとせず、できるところから増やしていけば十分です。
食事は「抜く」のではなく「整える」のが基本です。食事を大きく減らす方法は続きにくく、反動が来やすいためです。どこから整えればよいかは生活によって違うので、迷ったら食事の相談ができる場所を使うのも一つの方法です。
二の腕の裏側を鍛える運動3つ
ここでは、器具がなくても自宅でできるものを3つ紹介します。どれも肘を伸ばす動きで二の腕の裏側を使います。持病のある方や妊娠中・産後の方、肩や肘に痛みがある方は、始める前に下の「やりがちな遠回りと、気をつけたいこと」も読んでください。
1.壁を使った腕立て伏せ
- すべりにくい床の上で、壁から一歩離れて立ち、肩の高さで、肩幅くらいに手をつきます
- 肘を体の横に沿わせるように曲げて、胸を壁に近づけます
- 手のひらで壁を押し、肘を伸ばして元に戻ります
床で行う腕立て伏せより負荷が軽く、運動に慣れていない方でも始めやすい方法です。慣れてきたら、壁から足を少し遠ざけると負荷が上がります。
2.ペットボトルを使ったキックバック
- 水を入れたペットボトルを片手に持ち、反対の手を動かない安定した椅子の座面などについて、上半身を前に傾けます
- 持っている方の肘を体の横で曲げ、肘の位置を動かさないようにします
- 肘から先だけを後ろに伸ばし、ゆっくり戻します
肘の位置を固定したまま、反動をつけずにゆっくり動かすのがコツです。腰が丸まったり反ったりしないよう、背中はまっすぐに保ちます。
3.椅子を使ったリバースプッシュアップ
- 動かない安定した椅子の前に座り、座面の端に両手をつきます
- お尻を座面から前に出し、膝を曲げて足を床につけます
- 肘を後ろに曲げて体を少し下ろし、手で押して肘を伸ばします
3つの中では負荷が大きめです。体を深く下ろしすぎると肩の前に負担がかかるので、浅い範囲から始めてください。肩に痛みがある方は行わないでください。キャスター付きの椅子や、すべりやすい椅子は使わないでください。
回数と頻度の目安
先ほどのガイドの情報シートでは、筋力トレーニングは週2〜3日を目安に、休息日もしっかり設けることが勧められています。自宅で行う場合は、無理せずに『できなくなるところまで行う』のが最も簡単な目安だとされています。慣れてきたら、少しずつ負荷を上げていきます。
力を入れるときに息をこらえないことも大切です。血圧が急に上がるのを防ぐためです。動かすときに息を吐き、戻すときに吸う、と決めておくと続けやすくなります。
やりがちな遠回りと、気をつけたいこと
二の腕を何とかしたいと思うほど、次のような方向に進みがちです。
- 二の腕の運動だけを、休息日を設けずに毎日行う:腕の形づくりには役立っても、脂肪を減らすのは全身の仕事です。休みなく続けると、かえって疲れがたまります。ガイドでも、筋トレの時間が長くなりすぎると逆効果となる可能性があり、健康づくりを目的に行う場合はやりすぎに注意が必要とされています
- 食事を大きく減らして早く結果を出そうとする:我慢で乗り切る方法は続きにくく、反動も来やすくなります
- 痛みを我慢して続ける:運動中に関節や筋肉の強い痛み、胸の痛み、めまいやふらつきなど、体調の異変を感じたら、すぐに運動を中止してください
肩や肘に痛みがある方、治療中の病気がある方、健康診断などで血圧が高いと言われている方、妊娠中・産後の方は、始める前に医師に相談してください。腕のしびれや、休んでも引かない痛みがあるときも、運動より先に医療機関を受診しましょう。
一人で続けにくいときは、全身と食事をまとめて見てもらう
二の腕は、腕の運動・全身の運動・食事の3つがそろって少しずつ変わっていく場所です。どれか1つだけを頑張ると、変化が見えにくく、途中で止まってしまいがちです。
テルスカンジム小岩店では、パーソナルトレーニングとパーソナルピラティスを同じ料金の中で組み合わせられ、食事改善指導も全コースに0円で付きます。その日のメニューはトレーナーがお伝えし、フォームが崩れそうなときは補助に入ります。完全個室のマンツーマンなので、人目を気にせず取り組めます。女性の方向けのご案内はこちらのページ、料金は料金プランにまとめています。
通う回数に迷う方はパーソナルジムは週1回でも意味があるかを整理した記事も、あわせて参考にしてください。
出典:Kostekら「上半身の筋力トレーニングによる皮下脂肪の変化」2007年(PubMed PMID 17596787)/Ramirez-Campilloら「局所の筋持久力トレーニングによる部位別の脂肪の変化」2013年(PubMed PMID 23222084)※2本とも英語の論文で、題名は当ブログによる和訳です/厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(推奨シート:成人版/情報シート:筋力トレーニングについて/情報シート:身体活動・運動を安全に行うためのポイント、厚生労働省「健康日本21アクション支援システム」Webサイト)。研究の内容は要約して紹介しています。


